Case Study 株式会社福井
サイボウズ Officeがターニングポイント
「パソコンなし」からスタートした
100年企業のデジタル改革とは
- 業種
- 卸小売業
- 利用規模
- 51人~100人
- よく使う機能
- スケジュール・報告書・掲示板
- 掲載日
- 2023.01.12
株式会社福井は、大阪府堺市に位置し、伝統産業である「堺刃物」をはじめ、農業・園芸・ガーデニング関連用品や工具・DIY用品を取り扱う創業100年超の企業だ。事業内容も幅広く、卸を中心に製造・小売も行う。停滞気味な金物業界の中で、近年業績を伸ばしている稀有な存在である。
なぜ業績アップを叶えられているのだろうか。1つの理由として「デジタルツールの活用に積極的になり、情報共有や業務効率化が進んだことが大きい」と話すのは、代表取締役社長の福井基成氏。同社のデジタル化の取り組みとその効果について、福井氏にうかがった。
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「パソコンなし」からのデジタル化でも、抵抗感なく導入に成功
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情報共有で「個の集まり」から支店も含めた「一体の組織」に
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サイボウズ Officeをきっかけにデジタル活用に積極的な雰囲気ができた
INDEX
導入背景
情報の属人化が進み
担当者だけがわかることばかりになっていた
――事業内容のご紹介をお願いします。
大阪府堺市に本社を置き、包丁など刃物を中心とした金物類の製造と卸売業を営んでいます。刃物製造は堺の伝統産業で、弊社は明治45年に始まった創業100年を超える会社です。現在は「堺刃物」に限らず、園芸・家庭用品や工具など幅広い商品を取り扱っており、新潟や兵庫にも支店を持っています。
――株式会社福井様では、どのような流れでデジタル化の取り組みをスタートさせたのでしょうか。
私が後継経営者としてこの会社に入ったのは2006年でしたが、その頃はオフィスにパソコンがない会社でした。私自身はほかのメーカーからの転職で、はじめてオフィスを見たときに「なぜか広く感じる」と思ったらパソコンがなかったんです。そこで入社後にまず行ったのが、パソコンの購入でした。
このときベテラン社員が口にしたひと言は今でも忘れられません。「福井くん、パソコンって何ができるんや」と。そういった完全なアナログ文化からのスタートでしたね。
――それでもなぜデジタル化をしようと考えたのですか。
会社の情報が横展開されておらず、いわゆる個人事業主が集まったような会社になってしまっていたからです。営業担当も、当時は一度担当者が決まると20年は変わらないこともあり、営業先の情報や営業ノウハウが属人化していました。担当者だけがわかる情報ばかりでしたね。
当時はすべて紙ベースの報告でしたし、それをほかの社員とシェアする意識もありませんでした。とはいえ、今後社員の世代交代が起き、新しいメンバーが入る中で、今まで積み上げた知見や属人化した情報を会社の中で共有しないといけません。その問題意識からデジタル化を進めようと考えました。
とはいえ、その時点で100年も続いてきた会社ですので、それまで頑張ってくれた社員さんを全否定するような改革をするつもりもありませんでした。あくまでみんなが気持ちよくデジタル化にシフトしてくれるような良いサービスがあれば使い始めてみようと情報収集していた段階で、サイボウズ Officeと出会いました。
――数あるデジタルツールのなかで、サイボウズ Officeを導入した決め手は何でしたか。
サイボウズ Officeを導入したきっかけは、知り合いの経営者の方に勧められたことでした。あるとき、「サイボウズ Officeがええで!」と言われて。その方はお得意先の社長であり、私にとって信頼できる経営者の模範のような方なので、その会社で使って良いのなら、うちでも導入してみようかなと検討を始めましたね。
こういった会社で使うツールを有料で導入したことがなかったので、当時は迷いましたが、サイボウズ Officeはコスト的に始めやすかったので導入できると思いました。そこで、まずは営業部だけでテスト導入し、実際に使って便利なことがわかったので全社で利用することにしました。
社内浸透
使いやすくかんたんだったから、
何もしなくても自然と広まった
――アナログ文化だったとのお話がありましたが、導入後、社内ではスムーズに浸透していったのでしょうか。
導入してみると、誰からも文句を言われず、自然と使われるようになっていきましたね。おっしゃる通り、かつてはパソコンもない会社だったので、きちんと浸透するか心配していました。だからこそ、すんなりと受け入れられたことが印象に残っています。
――使い方を社員のみなさまに説明する機会などは設けたのでしょうか。
そういった説明会も行っていないですね。私も自分で使っていて感じますが、操作の仕方が直感的にわかる点が良かったのではないでしょうか。サイボウズ Officeで気に入っているのは、説明書を読まなくても操作ができることです。私は説明書を読むのが大嫌いなので(笑)
うちはITリテラシーの高い社員が多い会社ではありませんが、その中でも、使い方のわかる社員がほかの社員に教える流れもできていきました。
うちの会社はわかりやすくて、何かを導入したときに使いやすさや便利さを感じれば、みんな勝手に使います。ちょっとでも使いにくかったら横を向いてしまいますね。なので、社員がいいなと思ったことで自然と浸透していったのだと思います。
――最初の導入作業や設定などは、どなたが行ったのですか。
すべて私が行いました。この会社は社内にエンジニアがいるわけでもなく、また規模の大きな会社でもないので、ツール管理の専任者をつけるのも難しい。その中で、私一人で設定や導入作業を行えたのは良かったですね。私も特段ITリテラシーが高いわけではありませんが、問題なく行えました。
――こういったツールを社長である福井様みずから積極的に使われていることも、社内の浸透がスムーズに行われたポイントかもしれません。
たしかに他の会社のお話を聞くと、こういったツールを導入しても、経営層の方が使っていないために浸透しないということも多いですよね。特にスケジュール共有などは、誰か一人が利用していないだけで効果がダウンしてしまいます。そして、その「利用していない一人」が社長だったという話も。それでは格好がつきませんから、私が最初から一番使っていたと思います。
利用方法1
“社員の勘”で行っていた
応接室・社用車予約を見える化
――具体的にどのようにサイボウズ Officeを利用されているのでしょうか。
いろいろな機能を使っていますが、まず社員からの評判が良かったのは「スケジュール」と「施設予約」の機能ですね。この2つについては、いまや使っていない人はいません。
予定の管理については、以前だと「どこに誰がいるのかわからない」ということがよくあったんです。特に昔は、ホワイトボードを社内に用意して、営業で外出する人たちが行き先を書いていましたが、字が汚くて読めないことが多々ありました。「スケジュール」を使うことで、いまはそういうことがなくなりました。
そして便利なのが「施設予約」です。私たちの場合は、機能の名称を変えて「応接&車予約」としていますね。
――サイボウズ Officeでは、機能の名称を自由に編集できるようになっており、「施設予約」はそのように名前を変えているということですね。
はい。何に使う機能なのか、わかりやすいように名前を変えています。
「応接&車予約」では、応接室と社用車の利用スケジュールを管理しています。以前は、応接室と社用車の利用で、取り合いになることがよくありました。「今はあの人が社用車を使っているはずだから、あそこで乗り換えられるはずだ」というふうに、勘で使い回していましたね。「施設予約」を使うようになってからは、揉めることがなくなりました。
利用方法2
本社・支店間の日常的なコミュニケーションを実現
――そのほかによく使われている機能はありますか。
社員全員の日報は、サイボウズ Officeの「掲示板」で書いています。
以前は紙で日報を書いていました。書いた日報は上司や社長に提出するだけで、社員同士で内容が共有できていませんでした。また、手書きで面倒くさいから、と毎回同じようなことを書く人もいました。
デジタル化してからは、今日やった仕事の内容をまじめに書く人もいれば、家のペットのことを事細かに書く人もいて、内容はさまざまです。社員同士の情報共有やコミュニケーションが活発になっていますね。
――日報を拝見すると、「見たで!」というリアクションやコメントがたくさんついていますね。
そうですね。リアクションは初期設定だと「いいね!」なのですが、うちでは「見たで!」に変更して使っています。リアクションボタンを押すだけでなく、他の社員の日報にコメントしている光景もよく見られます。
面白かったのは、新潟支店で物流を担当している社員が、現在の状況と今後の目標を日報に書いていて、それに対して本社の社員から「(数字が)かなり改善されましたね、がんばってくださいね」といった旨のコメントを返していました。
コメントした社員は本社勤務で、日報を書いた新潟支店の社員に物流業務を教えた人です。いまも本社からサポートしているのですが、離れた場所で働く人同士が日常的にコミュニケーションを取れているのは大きいです。以前は考えられなかったので。
利用方法3
報告書を使った商談内容の共有で、
会議がなくても仕事が回る
――そのほか、情報の横展開という部分で活用している機能はありますか。
「報告書」をよく使っていますね。ここも機能の名称を「報告せよ!」に変えていて、お得意先や仕入れ先との商談内容を書いています。うちの会社にとって、もはや無くてはならないものになっています。
以前は、月に1回、半日使って大きな社内会議を開いており、そこで重要な情報を共有していました。しかしコロナ禍以降、大勢で集まるのはよくないと考えてその会議をやめ、「報告書」を詳細に記入して情報共有をするようにしました。
結果、会議がなくなってもコミュニケーションの不足を感じていませんし、むしろ商談から報告までのタイムラグがなくなり、今までよりもリアルタイムで情報が共有できるようになったと感じます。
――どのような情報がリアルタイムで共有できるようになったのでしょうか。
たとえば今、世の中では物価上昇の波が起きていて、私たちの事業でもさまざまな部分で値上げが発生しています。サイボウズ Officeを使う前は、値上げの情報を共有するまでに時間がかかっていました。その結果、すでに価格が上がっているのに、それを知らず過去の価格で取引してしまうというトラブルも起きていたんです。
サイボウズ Officeを使えば、ある仕入れ先で値上げがあった場合、それを「報告書」に記載してすぐに共有できます。私がそれを見て、最終的に販売する商品の新価格を設定して、その「報告書」のコメント欄で返信。社内にシェアします。これによって、価格改訂をすぐに共有できるようになりました。
さらに、「報告書」はリアルタイムの情報共有だけではなく、過去の情報をさかのぼって確認するときにも役立っています。
「報告書」は「アドレス帳」と連携でき、商談相手の会社情報を「アドレス帳」から取り込むことができます。すると、「アドレス帳」から会社ごとに「報告書」の履歴一覧が確認できるんです。これによって、たとえば担当者が変更になる際も、過去の状況がすぐ把握できますよね。
――報告書を見ると、いま話した会社情報の欄に「価格改定情報」や「売れ筋商品情報」といった項目も入っています。これはどういうことでしょうか。
私たちは「価格改訂情報」や「売れ筋商品情報」といった"何に関する報告なのか"がわかる項目を「アドレス帳」に登録しておき、「報告書」の内容に応じて、会社情報の欄に入れています。
こうすると、もし「価格改訂情報」に関する過去の「報告書」を見たいとき、「アドレス帳」の「価格改訂情報」から一覧で見られるようになるんです。そうしておけば、過去の履歴を簡単に追うことができます。
導入効果
“個”の集まりが”組織”に、
デジタル活用で業績も向上
――サイボウズ Officeの利用により、どんな効果を感じていますか。
やはり、情報共有という会社の土台ができたことが大きな効果ではないでしょうか。先ほど言った通り、会議をしていたときよりもリアルタイムでスムーズなやりとりができるようになっています。逆に、いままでの会議はなんだったんやと。半日も使っていたのに。
サイボウズ Officeに情報を載せておくと、自分の見たいタイミングで見られますし、仕事に関係のある部分のみピックアップして見ることもできます。受け手がきちんと集中した状態で情報を受け取れるのも大きいと思いますね。
社員それぞれが持つ情報をシェアしながら仕事が進められるようになり、導入前は個人事業主の集まりのようなだった会社が、サイボウズ Officeを通して”組織”になっていると感じます。
また、サイボウズ Officeでのコミュニケーションにはポジティブな言葉を使うように推奨しており、この心掛けが会社の雰囲気を自然と明るくしていると感じます。
サイボウズ Officeを使うことで、今まで見えなかった同僚や他部署の仕事が可視化され、それに対して「ありがとう」や「助かった」という気持ちが伝えられるようになりました。経営者として会社の雰囲気づくりも大切にしたいと考えているので、これからもポジティブなコミュニケーションは大切にしていきたいです。
――サイボウズ Officeが情報共有の土台になることで、社員さま同士のつながりも深まっているということですね。そのほかにも感じられている効果はありますか。
完全にアナログ状態だった社内にサイボウズ Officeが導入されたことで、デジタルへの抵抗感がなくなったという変化もありました。「ITって意外に便利やね」「うちでも使えるんやね」という空気ができたんです。
このマインドのおかげで、現在の当社成長を支えてくれている物流システム導入に成功し、業績アップにもつながっています。さらに物流センターにロボットを導入することも決まり、デジタル活用で現場の生産性を向上させていく計画です。
サイボウズ Officeが、社内のデジタル活用の礎となっていると言っていいのではないでしょうか。
――詳しいお話をありがとうございました。今後もサイボウズ Officeをよろしくお願いします。
この企業でよく使う
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