Case Study さくらホームグループ株式会社
業務プロセスをカスタムアプリで標準化
チームプレーで事業に取組む組織の創造方法
- 業種
- 不動産業・建設業
- 利用規模
- 101人~300人
- よく使う機能
- カスタムアプリ
- 掲載日
- 2022.01.06
さくらホームグループ株式会社は不動産売買・住宅建築など暮らしにまつわるサービスを総合的に提供する会社で、売買仲介契約数や新築着工棟数は北陸でトップクラスの実績を誇る。
同社はサイボウズ Officeのカスタムアプリで不動産や建築に関するあらゆる業務を標準化。業界で一般的な個人プレーを廃し、チームプレーで業務に取組む組織を創り上げた。
今回は専務取締役の多江氏とビジネスソリューション事業部の上妻氏に、業務の標準化が行われた経緯・サイボウズ Officeの活用方法・導入効果についてうかがった。
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営業マン個人の能力に依存する組織から、 一致団結型の組織になるためにサイボウズ Officeを導入
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カスタムアプリで業務プロセスを標準化
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チームプレーで業務に取組む組織が完成し、高い生産性を実現
INDEX
導入背景
一致団結のためのシステムとして
サイボウズ Officeを導入
営業マン個人の能力に依存する組織から、一致団結型の組織へ
不動産業界は一般的にIT活用が遅い業界と言われている。そんな中、さくらホームグループは早期からIT活用に積極的で2003年にサイボウズ Officeを導入した。その先進的なIT活用の狙いは、個人の能力に依存する経営からの脱却にあった。不動産会社の経営は営業マンの動向に左右されがちだ。営業マンが独立したり、インセンティブを求めて足を引っ張り合ったりする事態が起こると経営は弱腰になる。このような体制こそ不動産屋が大きく成長できない原因と考えたさくらホームグループの経営陣は、一致団結を合言葉に業務の標準化と経営陣の考えや数字を共有する方法を検討した。そんな折に目に留まったのがサイボウズ Officeだった。
「私たちは情報共有をするためにサイボウズ Officeを導入しました。中小企業の強みは一致団結すれば10人で15の力を出せるところです。営業マン個人の能力だけに頼るのではなく、経営陣が何を考えているかを始めとした、様々な情報を共有して社員が同じ方向を向いて仕事をする企業になりたいと思っています。」(多江氏)
利用方法1
業務プロセスをカスタムアプリで標準化
業務ツールおよびマニュアルとして機能する300ものカスタムアプリ
さくらホームグループでは経費精算・業務日報・物件管理・施工管理など、さまざまな業務をカスタムアプリで標準化している。たとえば建物の設計管理アプリには、物件を作り上げるために必要な全工程とその手順が時系列に並んでいる。各工程で必要になるデータの入力や図面の添付項目があり、それらの入力期限も設定できる。つまり、カスタムアプリの項目を期限内に埋めていくだけで建築が抜け漏れなく進行する。
カスタムアプリはマニュアルの役割も果たしており、アプリのメモ欄には詳細な使い方や、関連情報へのリンクが記述されている。そのため新人であってもカスタムアプリを開くだけで、その業務で何をすればいいのかを理解できる。同社にはこのような業務のマニュアルとなるカスタムアプリが300個以上も存在している。
―カスタムアプリ作成のコツ①:項目を細かく設定する
カスタムアプリで業務を標準化し、生産性を上げるコツを、アプリ作成の指揮を執る上妻氏に教えてもらった。
カスタムアプリで業務を標準化するコツは「項目を可能な限り細かく設定する」ことだ。まず、一つの業務プロセスを細分化し、やるべきことを洗い出す。そして、それらを項目化する。これによって、業務の抜け漏れを防ぎ、誰が行っても品質を担保することができる。
―カスタムアプリ作成のコツ②:利用シーンごとに一覧ビューを設定
一覧ビューの活用は生産性を高めるための欠かせない工夫だ。一覧ビューとは、レコードを一覧で確認する際の表示を設定する機能のこと。たとえば精算アプリは誰もが使うカスタムアプリだが、申請者・決裁者・経理担当など立場によって処理する内容が違う。そこで同社では「自分の仕事に必要なデータ」を絞り込んで表示できるように一覧ビューを担当者別・仕事別に細かく設定し、誰もがいま必要なデータにかんたんにアクセスできるようにしている。たとえば決裁者である多江氏には「専務用」という承認業務用のビューがあり、ここから一気に経費の承認作業ができる。
―カスタムアプリ作成のコツ③:複数のアプリを連携させる
同社ではルックアップ機能を使って、複数のカスタムアプリを連携させている。ルックアップ機能を使うことで、あるアプリの項目に入力されている値を、別のアプリの関連する項目にも自動的に入力できる。たとえば稟議が必要な経費の精算をする場合、精算アプリに稟議ナンバーを入力する。すると稟議に必要な情報をまとめているアプリから該当する稟議情報を精算アプリに呼び出せる。これにより、申請者は、同じ内容を何度も入力する必要がなくなり、入力ミスを防ぐこともできる。また、処理者は精算を確認する際に、どの稟議に基づいた精算なのかを正確に把握できるようになる。同社では顧客管理・物件管理といったその他の業務でも、複数のカスタムアプリを連携させることで業務を効率化している。
利用方法2
サイボウズ OfficeとBIやRPAツールを連携
さくらホームグループでは、約20年分の業務データをサイボウズ Officeに蓄積している。 このデータをより効果的に活用できないかと考えた同社は、様々なカスタムアプリからデータを収集し、目的の形にアウトプットできるBIツール(経営数字の可視化ツール)を連携させて利用することにした。現在では、蓄積したデータをあらゆる角度から可視化し、日々の経営判断や業務に役立てている。
またRPA(コンピューター上で行われる業務プロセスや作業を自動化する技術)も導入し、データ登録や締切りの指摘など、多くのサイボウズ Office上の作業を自動化。生産性を劇的に向上させた。
―生産性を上げて余力ある会社へ
「以前は売上げ前年比◯%アップ!のような目標を掲げていましたが、あるときこのやり方に疑問を抱きました。本当に目指したいのは、地域に貢献しながら週休3日、残業ゼロ、年に2週間のバカンスがとれるような余力のある会社でした。そのためには、BIやRPAを導入し生産性を上げることが欠かせませんでした。当社がこれらのツール活用に成功したのは、サイボウズ Officeがデータ貯蔵庫として中心に存在し、そのデータをBIやRPAで活用できるからなのです。」(多江氏)
現在さくらホームグループでは、自社の取組みで培ったシステム構築のノウハウを活かし、中小企業向けにDX化を支援する事業を行っている。
▶︎さくらホームグループ ビジネスソリューション事業
導入効果
誰でも期限内に同等の成果を出せる仕組みが完成
カスタムアプリであらゆる業務を標準化したことで、さくらホームグループではどの業務を「誰がやっても期日内に同様の成果を出せる」ようになった。このことは新人の即戦力化にも役立っている。以前は不動産業界によくある属人的業務スタイルで、能力のある社員に仕事を任せることで何とか家が建っていたというから大きな違いだ。
属人化した業務スタイルを脱し、チームで仕事に挑むスタイルになった効果は計り知れない。2003年に目指した「一致団結型の企業になり、会社を成長させたい」という想いが叶ったのだ。
「カスタムアプリは、データベースになる点だけでなく、かんたんにカスタムできることにとても高い価値があります。なぜなら、世の中の変化がとても早いからです。業務パッケージだと1項目を変えるだけでも大きな工数や費用がかかってしまいますが、カスタムアプリなら何か問題があったときに即再発防止の手を打てますし、新たな仕事もすぐに標準化できます。このようなカスタムアプリの使い方が中小企業に広がっていくといいですね。」(多江氏)
カスタムアプリを基盤にチームプレーで事業に取組む組織をつくり、世の中の変化にも柔軟に対応する。さくらホームグループの取組みはサイボウズ Officeの究極の活用法の一つだった。
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