Case Study 野原興産株式会社
社内の円滑な情報共有が
「顧客満足度の向上」につながる
16の事業運営をサポートする活用方法
- 業種
- サービス業
- 利用規模
- 6人~50人
- よく使う機能
- カスタムアプリ・掲示板
- 掲載日
- 2021.02.17
野原興産株式会社は兵庫県川西市で複合レジャー施設を運営する企業だ。ゴルフ練習場などスポーツ施設から陶芸教室まで16の事業を展開している。同社では2012年に社内の情報共有ツールとしてサイボウズLiveを導入し、現在はサイボウズ Officeを活用している。今回は同社の代表取締役社長である野原和憲氏に話をうかがった。
-
アナログでは実現できなかった"現場が見える"情報共有
-
対応スピードが上がったことで顧客満足度も向上
-
サイボウズ Officeでトップダウンから双方向のコミュニケーションに
INDEX
導入背景
現場の状況が見えないアナログな情報共有
クレームになってはじめて問題を把握することも
現社長の野原氏は、先代の社長(現会長)である父親から事業継承を行った後継社長だ。新卒で大手通信会社に勤務し、その後野原興産株式会社に入社したとき、社内のアナログな情報共有方法に課題を感じたという。
グループウェアを導入する前の同社では、各事業部の担当者とのコミュニケーションに紙(ノート・メモ)やエクセルを使っていた。しかし、紙やエクセルでは即時的でスムーズなやりとりが難しかった。
「当初は共有のノートでやりとりをしていました。しかし、紙ベースのやりとりでは私が出勤しないと内容を確認できなかったり、メモした紙がなくなってしまったりと情報が見えにくいという問題がありました。 そこで、エクセルを現場担当者と共有して、コメントを入力してもらう方法に変更しましたが、各担当者のコメントに対して私が返信をするという使い方には向いていませんでした。」(野原氏)
また、現場とスムーズに情報共有が行えないことで、何かトラブルが起こっても対応が遅れてしまうこともあった。
「たとえば、設備の改修指示を出しても、日々の業務の忙しさによってスタッフが対応を忘れてしまうことがあります。しかし、私自身も複数の現場とやりとりを行っているため、出した指示の進捗を正確に把握できていませんでした。そのため、お客様から設備不備のクレームを受け、初めて指示が滞っていたことを把握するということもありました。」と、野原氏はグループウェア導入前の状況を振り返る。
このように情報共有の方法に問題を感じていたことに加え、2012年にエクセルで共有していた情報が消えてしまうというトラブルも起こった。これをきっかけに、社内の新たなコミュニケーションの中心になるツールの導入を本格的に検討した。
サイボウズのグループウェアを知ったのは、ITツールの選定を担当した従業員からの紹介であった。当初はサイボウズLiveを導入したが、サービスの終了が発表されたことをきっかけに、同じような使い勝手でより多機能なサイボウズ Officeに移行した。サイボウズLiveの導入から約10年間、サイボウズのグループウェアを活用している。
同社では、「掲示板」と「カスタムアプリ」を主に活用しており、今回はその2つの機能について活用方法を詳しくご紹介いただいた。
利用方法1
カテゴリの作り方と標題のルールで
整理された「掲示板」を実現
同社の主な情報共有の場となるのが「掲示板」機能だ。
サイボウズ Officeの「掲示板」では、書き込んだ掲示にコメントやリアクションをすることができる。何か共有したい情報があるときには新しい掲示を書き込み、それに関する報告・連絡・相談をコメントとリアクションで行っている。この使い方によって、紙やエクセルでは実現できなかった現場担当者とのスムーズなやりとりを実現している。
「掲示板」では、全従業員に関わる情報や各事業部の業務に関する情報、野原氏が社員に共有したい時事ネタなど、さまざまな情報がやりとりされる。そのため、「掲示板」への書き込み件数(※)は月300件を超えることもあり、掲示の累積数も膨大だ。
掲示の数が多くても、自分に必要な情報がすぐにわかるように、以下のような2つの工夫が施されている。
※コメントの書き込みを含む
まず1つ目はカテゴリの作り方だ。
通常、「掲示板」にはシステム設定で登録されている組織に連動した「組織カテゴリ」と、システム管理者が任意に作成できる「カテゴリ」が別々に表示される。同社では、実際の組織(例:ゴルフ事業部)だけではなく、その下にある任意のカテゴリ(例:GOLFフロント)も組織として登録することで、「組織カテゴリ」に任意のカテゴリも一覧表示させている。こうすることで、親カテゴリ・子カテゴリの関係がわかりやすくなり、「掲示板」を見る人が必要な情報にたどり着きやすくなる。
2つ目は、「掲示板」の標題の付け方にルールを設けることだ。
標題の冒頭には必ず、【情報共有】や【依頼】というように掲示の内容が大まかにわかるキーワードをつけ、その後ろに内容を簡潔に表すタイトルをつけるようにしている。これにより、一目でどのような内容が掲載されているのかわかりやすくなり、検索機能を使うときも自分の探している掲示にすぐたどり着くことができる。
利用方法2
作り込まれた「カスタムアプリ」で
タスクの進捗を可視化
「掲示板」でのコミュニケーションから具体的なタスクになったものや、日々の業務のなかで生まれたタスクは、「タスク進捗」というカスタムアプリを使って管理している。「掲示板」でやりとりしていた情報でもカスタムアプリに登録し直すことで、期日がいつまでなのか、担当者は誰なのか、進捗状況はどうなのかをよりわかりやすくすることができる。
タスクを滞りなく管理するために、このカスタムアプリには5W1Hの情報(どこの事業部で、誰が担当で、何を、何のために、どうやって、いつまでにやらないといけないのか)を登録している。
この情報をもとに、タスクの状況を正確に把握し、各担当者とスムーズにコミュニケーションを取れるように、以下の工夫をしている。
絞り込み表示とカレンダー形式表示で今やるべきタスクを把握
「タスク進捗」アプリに登録されたタスクは、状況という項目で「準備中」「対応中」「完了」といった進捗状況がわかるようになっている。登録されているタスクの件数が多くても、タスクの一覧画面に「完了」などの既に対応済のタスクは表示せず、「準備中」「対応中」などのタスクだけを表示することで、今進めるべきタスクをわかりやすくしている。
また、サイボウズ Officeのトップページには、この「タスク進捗」アプリに登録された各タスクの締切日をカレンダー形式で表示している。ログインしてまず目に入るトップページで、その日に対応しなければならないタスクをすぐに確認することができる。
タスクの催促はサイボウズ Officeの通知におまかせ
野原氏は、カスタムアプリの通知機能を活用することでタスクに関するやりとりを円滑に行っている。
まずは、コメントについてだ。各タスクについてのやりとりは、レコードのコメント機能を使って行っているが、新しいコメントが書き込まれたときに、トップページとメールに通知が入るように設定している。こうすることで、サイボウズ Officeにログインしているときはもちろん、ログインしていなくてもメールでコメントに気付けるので、リアルタイムでやりとりが行える。
そして、タスクの状況が更新されたときにも同様の通知を設定している。アプリを確認したとき、タスクの進捗が遅れているものがあれば状況を「準備中」から「対応中」に変更する。すると、タスクの担当者に通知が入るので、通知によってタスクを進めるようにやんわりと催促をすることができるのだ。言葉では言いにくいことをサイボウズ Officeの通知機能が代わりに伝達してくれる。
導入効果1
現場との円滑なやりとりが顧客満足につながる
サイボウズ Officeを活用することで、アナログなコミュニケーション方法で現場の状況把握に支障が出てしまうという当初の課題を克服した。現場で何かトラブルが起こったとしても、すぐに情報が共有され指示を出すことができるので、対応が後手に回らなくなった。
従業員がスムーズにタスクをこなせるようになったことは、運営するレジャー施設に訪れるお客様にとっても良いことだったという。
「今までは顧客からのクレームで初めてトラブルに気づく状況でした。しかし、サイボウズ Officeによって現場とスムーズにコミュニケーションを交わせるようになり、施設修繕などお客様にご迷惑をおかけしてしまうトラブルも、その翌日には対応を完了できるようになりました。結果的にクレームが減り顧客満足度も高くなったように感じます。」(野原氏)
導入効果2
経営の右腕となる新しいコミュニケーションツール
先代から事業を引き継いだ後継社長である野原氏にとって、サイボウズ Officeという新しいコミュニケーション方法を確立できたことが意外な効果をもたらした。
先代社長と従業員は従来の口頭でのコミュニケーションを継続したのに対し、野原氏と従業員はグループウェアを使ってやりとりするようになったことで、従業員が両者の板挟みにならずに事業継承を進められたのだ。
「これまで従業員は私と先代からそれぞれ口頭で指示をだされ、両者の指示の板挟みになっていました。しかし、私がサイボウズ Officeという従業員も気軽に情報共有できる場をつくったことで、先代から従業員が受けた指示もサイボウズ Officeに集約されるようになり、バラバラに指示されていたことが俯瞰できるようになりました。従業員も先代からの指示についてグループウェア上で私とコミュニケーションできるようになったので、ストレスを感じずに仕事ができるようになったと思います。」と野原氏は語る。
以前はトップダウンのコミュニケーション中心だったが、サイボウズ Officeを使い始めて上司と部下の間で双方向のやりとりが行いやすくなった。これにより、指示待ちの体勢になりがちだった従業員も自ら情報を発信するようになり、業務への主体性も向上したように感じるという。
同社の16の事業運営から生まれる膨大なタスク管理を担うサイボウズ Office。野原氏に「サイボウズ Officeとは?」と伺うと、「豊臣秀吉にとっての黒田官兵衛のような、経営をするための右腕です。現場の従業員の意見を吸い上げて、それを知恵にしてくれる欠かせない武器です。」という言葉で表現をしてくれた。
今後の展望
使い方次第でさらなる効果を
もっと気軽な社内コミュニケーションを実現したい
野原氏は現在、気軽に社員同士でコミュニケーションが取れるチャットツールのようなアプリを作成中だ。
サイボウズ Officeはユーザー同士のコミュニケーションを円滑にできるツールではあるが、チャットツールで生まれる気さくな雰囲気が作りづらいと感じていたそうだ。そこで、自由にカスタマイズでき、目的に沿ったアプリケーションを作れる「カスタムアプリ」で専用のアプリケーションを実験的に作成している。
活用の工夫次第でグループウェアから生まれる効果はさらに大きくなる。独自の工夫で社内コミュニケーションをより活性化しようとする同社のサイボウズ Office活用術に今後も注目していきたい。
この企業でよく使う
機能はこちら!