Case Study 東洋ケース株式会社
「ある意味、サイボウズを使った
取り組み全部が社員教育みたいなもの」
- 業種
- 製造業
- 利用規模
- 51人~100人
- よく使う機能
- メッセージ
- 掲載日
- 2012.06.28
今回は2012年で創業59年を迎える京都の老舗、東洋ケース株式会社様をご紹介いたします。 東洋ケース株式会社様は、衣類や雑貨の収納ケースの企画販売をはじめ、日本の伝統工芸である蒔絵の魅力を活かした「彩蒔絵シール」や、普段着の感覚で着られるキュートなレインウェアブランド「Those days」を展開し、高い評価を得ておられる会社様です。 「彩蒔絵シール」は、携帯電話などを手軽にデコレーションできる転写シール。蒔絵の技法を用い、鮮やかな色彩で高級感をかもし出した、戦国武将や新選組などのオリジナルシールが人気を集めています。また、可愛らしいデザインとリーズナブルな価格帯を両立させた、今までになかったタイプのレインウェアは、雨の日だってオシャレしたい!と思う女性の心をぐっとつかんで注目されています。 斬新な目の付け所とチャレンジ精神で、ヒット商品を打ち出しておられる東洋ケース様のグループウェア利用法について、常務取締役経営戦略室長の吉川慎一様にお話をお伺いしました。 ちなみに吉川様は「彩蒔絵シール」開発を担当されたアイデアマンです。
INDEX
導入経緯
どんな課題があって、グループウェア導入を
決められたのですか?
「社内業務に関するルールがなくて、色々な問題が起こっていたんです。例えば稟議書や経費の申請、社員のスケジューリングなどは、社員が各自、自己流のやり方で処理を行っていたんです。極端な話ですが、何か稟議をあげたい場合にはその担当者が直接社長と交渉して、OKが出れば進めるといった流れでした。」
――個人でやり方が違っていたわけですね。
「そうです。社内の連絡方法についても口頭、メモ、メールなど、個人の好みで伝え方がバラバラ。その結果、『伝えた』『いや、聞いていない』のようなやり取りがしょっちゅう起こっていました。
また、社員の出張や外出についても問題がありました。どのような問題かというと、営業がホワイトボードに『大阪』とか『東京』とか行き先しか書かないので、そこで今何をしているのか、詳しいことがわからないんです。そんな状態だったので、お客様から電話が入ってもコールバックのお約束もできませんでした。」
――それでは業務が滞りますね。
「ええ。そういった諸々の問題を解決するためには、まず社員に『こういうやり方では駄目なんだ』『こういうことをするとトラブルが起きる』という問題意識を持たせることが必要だと思いました。」
――なるほど。具体的にはどのようにされたのですか?
「業務フローの改善を目指し、ルール統一に取り組みました。まず現状はどうなっているかを知るために社内の情報を収集し、業務のどの部分にどんな問題があるのかを浮き彫りにしました。その上でルールを統一していったんです。
例えば稟議規定を作り、稟議をどういうフローで承認するかを決めます。そういったワークフローを作ることによって、『こんなやり方では稟議が通らない』という意識付けにもなっていると思います。
社内連絡については「サイボウズ Office」のメッセージ機能を利用することで、『言った/言わない』のトラブルを避けています。知らないという人に対しては『いや、メッセージを送ってますよ。開封してくださいね』と言えますし。現状では業務の効率化というよりは、そういったタスクの意識付けを社員に徹底するために活用している面が強いと思います。」
利用方法と導入効果
グループウェアをどのように活用しておられるのでしょうか。具体例と効果をおうかがいできますか?
「クレーム対策に活用しています。クレームは問題にいかに素早く対応できるかがお客様の信頼を得る鍵になってきますから、非常に重視しています。クレーム全体を『対応に関するクレーム』と『製品に関するクレーム』に分類し、内容の詳細を「サイボウズ Office」にあげて情報共有しています。
そうすればAさんが受けたクレーム内容を知らずに、Bさんが同じことをやってしまうというミスが防げますし、クレーム発生そのものに対する注意喚起にもつながるという効果が出ています。
情報共有という点では、営業活動の可視化にも利用しています。今までは営業担当が替わったら、その会社に関する情報が何もわからなくなってしまっていたんですよ。それを防ぐために営業でデータベースを立てて、訪問先や訪問の目的・結果、次回の対策などを全員が書き込み、それに対して課長がコメントを入れるという使い方をしています。営業活動って、いわば会社の資産じゃないですか。どこに行って、どんな営業をして、何が成功したか失敗したか。そんな貴重な蓄積されてきたデータを、担当が替わった途端にゼロにしないために、「サイボウズ Office」が活躍してくれています。
後は工程管理にも利用しています。うちはレインウェアを中国の工場で生産しているのですが、不良品が多くて困っていました。何でこんなに不良品が多いんだろうとよくよく話を聞いてみると、工場側ばかりが悪い訳ではなく、うちの段取りの悪さや指示ミスなどが原因の部分もありました。これではいけないというので、工程管理を見直すことにしたんです。具体的には生産仕様書を作ろうと思っていて、今はまだ途中なのですが、近々実行するつもりです。
まず全工程を染色、裁断、縫製などの段階ごとに分けて現地工場でチェックし、画像を撮ってカスタムアプリに載せます。それを営業と企画が確認し、OKが出たら次の工程に進むんです。最終工程でOKが出たら業務チームの貿易担当にメールが飛び、納期を決める。そうやって全商品の納入時期が確定したら、「サイボウズ Office 9」のスケジュールに飛ばす予定です。
こうすることで、企画チームと業務チームの連携ミスからくる納期の遅れも防げると思います。うちでは商品デザインなどの仕様を企画チームが、納期に関する決定を業務チームが担当しています。仕様変更などがあると、企画チームには連絡がいくものの業務チームには伝わらずに納期が遅れることがありましたが、その防止策にもなるだろうと期待しています。」
――ありがとうございます。他に何か変わった利用法などがあれば、ぜひお聞きしたいです。
「デパートなどの催事に出した商品の返品管理に利用しているのがちょっと変わった使い方かもしれませんね。以前はデパートから受けた報告をそのまま売上計上していたんです。デパートなどの催事でレインウェアを販売することが多いのですが、催事という特殊な方法であることも関係して、デパートは返品作業に関しては割と大ざっぱなんです(笑)。実際は万引き被害があったり、輸送時の破損商品があったりして数が合わないことも考えられるので、本当は売上金と返品の数が合っているかどうか突き合せなければいけない。グループウェアの導入後はハンディターミナルで処理をして、エクセルで集計したデータをカスタムアプリに入れています。これまではやりっぱなしで責任の所在も不明でしたが、その辺りの意識もだいぶん改善されてきました。
返品予約にも使っていますね。営業と業務チームのどちらかが、どの催事からどれくらい返品がありそうかを確認して「サイボウズ Office」に返品予約を入れ、それを竜王(中国工場)の倉庫に飛ばして返品の量と時期を伝え、あらかじめ受け入れ態勢を整えてもらって、スムーズな作業を心がけています。
ある意味で、それら個別の使い方を含め、サイボウズのグループウェアを活用した取り組みの全部を社員、中でも新卒社員への教育ツールとして使っているといえます。
グループウェアをポータルとして使い、フレームワークとして仕事を定着させたいんですよね。特に新卒社員には、社会人として持つべき判断基準をフレームワークで覚えてもらいたいと考えています。座学ではなく、習慣付けで仕事を覚えていってもらいたい。そういった取り組みが結果として見えてくるようにするために、知らないところで何かが勝手に起こるという事態を極力、抑えていく必要がありますね。」
導入の決め手
サイボウズのグループウェアを選んでいただいた
理由は何ですか?
「まず使いやすさですね。実は僕、グループウェアとかあんまり使い慣れてなかったんで(笑)。でも、そんな僕でも使いやすいなあと思っています。」
――ありがとうございます。
「とにかく、営業の使い勝手がいいんですよ。現在、メールを個人フォルダに飛ばすやり方を基本にしているので、各パソコンにメーラーで入っていると、営業が出先でお客様からのメールを確認する場合に、違うメーラーだと追いかけられないという問題が出てくるんです。その点、『サイボウズ Office』を使うとメールの履歴が全て追いかけられて便利です。
『サイボウズ Office』導入以前も、ファイル共有のためにサーバー上で管理はしていたんですけど、そのサーバーには会計システムも入っていたので、ポートを開けないんです。だから営業が出先で『この資料を開けたい』と思ってもアクセスできなかった。それに比べて『サイボウズ Office』はちゃんとアクセス権限を設定して、外部から見てもいいデータだけ見られるので、営業から見ると本当に使い勝手がいいんです。社内データに関しては、『サイボウズ Office』のメッセージでツリー管理していきたいなと思っています。」
今後の展望
今後の展望について、お話をお願いします。
「将来的にやっていきたいと思っていることが3つあります。
1つはメインの提携工場に「サイボウズ Office」のグループウェアライセンスを1つ与えて、工程管理を共有していくこと。もちろん他の部分はアクセス権限をかけますけどね。そうすることで不良品の発生を抑えたり、スムーズな生産につなげられればと思っています。
2つめは、外部の方々とのメールのやり取りにおいても『言った』『言わない』をなくしていくこと。
3つめは、うちは営業に行くときは基本的に企画も込みで持っていくので、企画のアイデアや過去の企画をカスタムアプリにまとめていくこと。そうやって情報を共有し、ある意味で部の枠を取り払って商材を売り合ったり、新しい商品開発のイメージをふくらませられればいいなと思ってるんです。うちは販路は結構あるので、ヒット商品の開発にもっと力を入れていかないと。」
――ありがとうございました。ぜひ東洋ケース様ならではのヒット商品を開発してください。楽しみにしております!
最後はアイデアマンらしい吉川氏の一言で、力強くまとめていただきました。
新しい分野の商品開発に果敢にチャレンジを続けられる、東洋ケース様の今後の展開が楽しみですね!
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