Case Study 株式会社 芝浦スタジオ
国内最大の音楽スタジオで共有される
「おもてなしの心」
- 業種
- 不動産業
- 利用規模
- 6人~50人
- よく使う機能
- 掲示板
- 掲載日
- 2012.09.11
スタジアムクラスの大規模なコンサートを行う超有名アーティストがリハーサルを行う国内最大クラスのスタジオ。昨今劇的な環境変化を迎える音楽業界において、オープンから順調に顧客数を増やし、今年グループ3つ目の拠点を増設したスタジオの、情報活用法とその理念とは。 「Office on cybozu.com」は、さまざまな業種の会社様にご利用いただいています。たとえば音楽業界もそのひとつです。華やかに見えるかの業界も、裏方を含めた多くの人々からなるチームワークによって支えられていることに変わりはありません。 今回お話をお伺いしたのは、「株式会社 芝浦スタジオ」様。各地のドーム球場やスタジアム、野外ステージなどでの大規模なコンサートを行う超有名アーティストがリハーサルを行う、国内最大クラスのスタジオを運営しておられる会社様です。 昨今の劇的な環境変化により一見厳しそうに見える音楽業界において、オープンから順調に顧客数を増やし、今年はグループ3つ目の拠点となる「羽田エンタテイメントスタジオ」をオープンされました。 サイボウズとは「Office 4」から10年以上のお付き合いをさせていただいており、そして今年(2012年)「Office on cybozu.com」に移行された同社の代表取締役である川浪様に、厳しい時代でも支持される理由など、ざっくばらんにお話を伺いました。
INDEX
事業概要
事業概要
――まず、なぜこのような巨大なリハーサルスタジオを作ろうと思ったのですか?
「僕はもともと音楽が大好きで、1980年前半ころの大学在学中からミュージシャン活動を始めていました。その傍ら街のアマチュア用のスタジオでアルバイト店長なんかもして、音楽とのかかわりは深かった。
同じ時期にヨーロッパに放浪の旅に出たりして、そこで Pink Floyd とか Stevie Wonder とか、好きだったアーティストのコンサートを見ることができたんですよ。それが大規模で圧倒的で。『これから必ず日本でもショーの大型化が始まる』と確信しました。
そこで『コンサートのステージがつくれるくらい大型の、プロ専用スタジオをやりましょう。』ってバイト先のスタジオの社長に直訴したんですよ。社長には『金は10年で返す。』と大見得を切って(笑)じゃあやってみろ、ということになって、東京ドームの開業を翌年に控えた1987年に芝浦で創業しました。26歳でしたね。『絶対に一番を作る』という信念で、当時はなかった110帖のスタジオを含めた4室を作りました。」
――当時の社員数は?
「自分と4人のアルバイトでしたね。」
――その後は順調に軌道にのったのですか?
「最初は YMO さんが使ってくれたと記憶してます。その後日本ではバンドブームが起こり、ブッキングは真っ黒になりました。予約を断るケースが出始めたので、階下のフロアが空いたタイミングで 4 年目で増床しました。
最初のときには苦労した銀行の融資もスムーズに受けることができましたね。断ったお客様のリストを手元に持って交渉して(笑)。
そのころ従業員数は10人くらいになっていたと思います。」
導入の経緯
蓄積してきた顧客情報を活用するため、
グループウェアを導入
――一般の方々にはリハーサルスタジオの業務って、予約を受けてタイムテーブルを管理して、お客様の使用した後に片付けや掃除をして、という以外にピンとこないと思うのですが、どうやって他社と差別化するのでしょうか。スタジオの大きさ以外にお客様に支持された理由は何でしょうか。
「スタジオ業はどちらかと言えばホテルに近いと思っています。例えばウチでは、アーティストやミュージシャンごとに使用している機材を把握し、予めそれぞれの機材に必要な電圧を確保する、などのアクティブなサービスをスタッフそれぞれが心がけています。その為に開業当初から『引き継ぎノート』で、スタッフ間の情報共有を行なっていました。申し伝え事項はすべてノートに記載する。名前、使用機材、車両情報までいわば病院のカルテのように、顧客ごとのデータを蓄積していました。この情報を使って、一般のスタジオとは大きく異る単価に見合う付加価値を提供します。そうして顧客のクリエイティブのお手伝いをする。この点について、評価いただいているのではないかと考えています。
この『引継ぎノート』がいわば会社の財産です。顧客の信頼感・安心感を生み出す素になります。」
――「引継ぎノート」による細やかな情報共有が、お客様からの支持につながったということですね。御社には、2001年に「サイボウズ Office 4」を導入していただいています。スタジオオープンから14年目のタイミングで、なぜグループウェアを導入しようと考えられたのでしょうか。
「ある時この「引き継ぎノート」に、以前と重複している内容が書いてある事に気がついたんです。書き込んだスタッフは新しく知ったことではあったのですが、引き継がれたスタッフは以前に経験している内容だった。また、それを昨夜のうちに経験のあるスタッフが確認できていれば今日はもう対応できていたのに、と思いました。 せっかく蓄積した財産(データ)も、活用できなければ意味がない。これらをどうやって串刺しにして、また簡単に検索できるようにするか、を考えました。」
川浪様のiPadには多数の「サイボウズ Office」掲示板のタイトルが並ぶ。
同氏はパソコン通信の時代からミュージシャン用の「草の根BBS」を主催するなど、ITに関しては以前から積極的に情報収集を行い、活用を実践している。
――そこでグループウェアですか。
「既にその頃はインターネットが普及していて、もっと簡単に情報のやり取りができるようになっていました。最初、知人から教えられた『Notes』を試したんですが。『なるほど、こういうものがあるのか』と思ったんですが、価格の敷居が...中小企業の自分たちにとっては高いでしょう?引き続き探している時に『サイボウズOffice 4』と出会って。導入が簡単だし、投資額としても手頃だったので導入を決めました。」
利用方法
「引き継ぎノート」に代わって掲示板を利用
――具体的には、どのような使い方をされていますか?
「主に掲示板ですね。カデゴリを20以上作ってると思いますが、それぞれ細やかにアクセス権を設定して使っています。アーティストの情報などは他の情報より秘匿性が高いので、権限ごとに公開できる内容に差をつけています。
でも仕事以外の話題も積極的に使わせてますよ。入社・退社の挨拶とか、飲み会の告知、新人芸の打ち合わせ、とか。こういったことは全体の一体感を生むんですよ。そういうことも各スタッフの「おもてなしの心」に現れると思っています。」
――「引継ぎノート」の代わりとして機能しているんですね。
「そうですね。それと、全体的なサービスの質を上げるためには、ダイレクトに経営者の声を伝えることが重要だと思っていて、グループウェアはそういう場所にもなっています。
たとえば顧客に何かをお断りするケースがあるとして、その時に『ルールでダメなんです』ではなく、その理由までいちスタッフが説明できる、というところもサービスの質だと思っています。
正しい答えはたくさんあるのかもしれませんが、経営者はその中から『うちはこれを選択する』という意思決定をします。その決定のプロセスをも見せることで、その理由を末端のスタッフが顧客に説明して納得させることができる。これが大事。
またそれは全員に共有できている必要がある。常時同じサービスが提供できないですからね。」
――教育とか啓蒙とか、そういう部分にも近いですね。
「ウチみたいな中小企業は、限られた最小限の人材で業務をまわしているのが当たり前でしょう。だから社内研修とかに時間と人員をとるのは難しいんですよ。でもグループウェア上で議論させることはできますよね。だから自分もグループウェア上で常にスタッフに向けて発信し続けています。グループウェアがなかったら、毎日たくさんのスタッフとミーティングしなきゃいけないですね。」
――「引継ぎノート」的な使い方以外では?
「経営者としての自分を客観的に見る材料にしてますね。5年前の自分の発言と、今の発言とを比べてみたり。自らがブレたくない、またブレて受け取られたくないので、言葉の使い方をチェックしたり。また年頭の挨拶を読み返して、目標値と現状の達成・未達成をチェックし、自分が反省する材料にしています。」
巨大スタジオの一角の壁に書き連ねられる利用したアーティストのサイン。
サインのそばには感謝の言葉が書き添えてあるものも多く、同社の「おもてなしの心」が利用者側に伝わっていることが伺えた。
クラウド移行の経緯
サーバートラブルがきっかけで、クラウド版を検討
――グループウェアの効果事例としてもですが、経営側の視点としてもすばらしいですね。今年、御社は「Office on cybozu.com」にクラウド移行されたわけですが、その理由をお聞かせください。
「きっかけとしては、以前にもあったのですが『Office』をインストールしていたサーバーにトラブルがありまして。サイボウズに相談したところ、クラウド版がリリースされていることを知りました。現在では、芝浦のほか、世田谷、ここ羽田、と三つの拠点があり、それぞれネットワークVPNで『Office』にアクセス出来るようにしていたのですが、クラウドならVPNの必要もないし、価格感も問題なかったので、これを機にクラウド環境へ移行しました。」
――移行した後の最新版はいかがですか。
「移行後もスタッフは違和感を感じていないと思います。トラぶったサーバーからデータをサルベージして、『Office』データのクラウド移行も自分たちで行ったのですが、あまりにすんなりと行き拍子抜けしました。
その際に『スケジュール』機能を使った休暇やシフト管理の運用相談をしていたのですが、提案された内容での運用を始めて、スケジューリングはしやすくなりましたね。」
今後の展望
手書きやアナログのよさも捨てずに
ITを活用したい
――サーバートラブルがあったとお伺いしていたので、移行がすんなりといってほんとホッとしました...「Office on cybozu.com」について、要望などはありませんか?
「『サイボウズ Live』ではできる掲示板の一斉メール通知が『Office on cybozu.com』ができないことは大きく不満です。ウチの武器は『スタジオ』という数の限られたものなので、無駄なく有効に利益につなげるためには、営業部門がブッキング情報をタイムリーに把握しておくことが必要なんです。各ルームのブッキング状況は独自のシステムで視覚的に確認できるようにしていますが、新たなブッキングの情報は「『サイボウズLive』の掲示に書き込み、スタッフ全員に一斉通知するようにしています。
――「サイボウズLive」は書き込みごとに通知の有無を選択できますね。そういったニーズがあることは把握しました。ありがとうございます。
最後に、積極的にITを事業に活かしてこられた川浪さんですが、今後のIT活用について何かお考えはありますか?
「IT は十二分に活用すべきと思っていますが、手書きやアナログのよさも捨ててはいないんですよ。例えばうちは海外のアーティストにご利用いただくことも多いですが、外国にはない洗浄機能つきトイレには使用方法の説明が要りますよね。メーカーが用意したものもありますが、あれだとうちの心が伝わらないと思うんです。だから英語でも韓国語でも社員に手書きで書いてもらっています。
あと、ウチの会議はパソコン禁止ですしね。iPad に手書きツールでメモを取ることだけOKとしていますけど。また二時間を上限と決めている。なるべく集中して、時間を有効に使うためです。」
――そのバランスが大事ということですね。我々の仕事の仕方も考えさせられるようなお話をたくさんお聞かせいただきました。 ありがとうございました!
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