サイボウズ Office

サイボウズ Office

Case Study 浜松倉庫株式会社

業績アップ&若手採用に成功!
100年企業のデジタル改革で
カギを握ったのは「助走期間」

浜松倉庫株式会社

業種
運輸運送業
利用規模
101人~300人
よく使う機能
カスタムアプリ・スケジュール・報告書
掲載日
2024.04.15

浜松倉庫株式会社は110年以上の歴史を持ち、静岡県浜松市を拠点に長きにわたって物流業を営んできた。同社は数年がかりでアナログだった業務を改革し、デジタルで生産性を高める「生産性向上プロジェクト」を敢行。その第一歩として導入したのがサイボウズ Officeだった。その結果、2022年には静岡県の中小企業で初となる経済産業省のDX認定を取得。さらにDXの取り組みで成果を出している中堅・中小企業を発掘するDXセレクションにて、2024年のグランプリを受賞し、業績拡大や従業員の給料アップも実現している。取締役 営業デジタル推進本部長 経営企画室長の伊藤浩嗣氏に、サイボウズ Officeを選んだ理由や効果について伺った。

Point

  • この先100年会社を存続させるために、アナログな業務を変える必要があった

  • さまざまなデータ活用、社員コミュニケーションなど、今や会社のインフラ

  • サイボウズ Officeを足がかりに、高度なITシステム導入に成功。DX認定を取得するまでに

導入背景

この先も100年会社を続けるために、
デジタルに親しむ「助走期間」が必要だった

――まずは事業内容のご紹介をお願いします。

1907年、旧浜松銀行の頭取や楽器のヤマハの創業者などが発起人となって設立された会社で、倉庫事業と運送事業を中心に総合物流サービスを提供しています。お客さまの荷物の保管や輸配送がメインで、浜松市を中心に本社と5つの物流拠点を持っています。そのほか、駐車場や地ビールレストランも経営しています。

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都田流通センター

――サイボウズ Officeを導入されたのは伊藤様だそうですね。どのような背景があったのでしょうか。

2015年、私を含めた中堅世代の管理職が突然社長に呼び出され、こう言われました。「創業から100年続けることができた。さらにこの先100年続けるためには今の会社に何が必要か、みんなで考えてほしい」と。

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サイボウズ Office導入前の事務所の様子

随分な無茶振りだと思ったのですが、「好きにやっていい、とにかくチャレンジして欲しい」と言うので、一から業務を見直そうとアイデアを出すことにしました。このとき物流業界は転換期を迎えており、県内でも競争が激化。社内でも若手が不足するなどの課題がありました。話し合いの結果、「生産性向上プロジェクト」を立ち上げることになったのですが、これをはじめるための基盤づくりとしてサイボウズ Officeを導入したのです。

――社長からの呼びかけがきっかけだったんですね。「生産性向上プロジェクト」について詳しく教えてください。

内容はシンプルで、業務の生産性を上げて、取引先に対して他社より質の良いサービスを素早く提供しようというもので、そのために必要な仕組みやツールを考えていきました。

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取締役 営業デジタル推進本部長 経営企画室長 伊藤氏

たとえば我々の業界では、「WMS」という倉庫管理システムがあり、これを使えば荷物の入出庫状況がリアルタイムでわかります。こういったツールで生産性向上を図るのが理想的ですが、高度なツールを入れたとして、いきなり社員が使いこなせるのか、そもそもデジタルツールを前向きに使ってくれるのか未知数でした。なぜなら当社の職場環境はかなりのアナログだったからです。

そこでまずは社員がデジタルツールに慣れ、「こんなに便利なものなんだ」「いろいろできるんだ」と感じてもらい、当時の紙文化を廃止する時間が必要でした。ここで白羽の矢が立ったのがサイボウズ Officeだったのです。 いくつかのグループウェアを検討しましたが、その中でも操作画面がかんたんそうで、アナログ派の社員でも抵抗なく使ってみたいと思える気がしたのが決め手です。

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生産性向上プロジェクトにおいて、サイボウズ Officeは第0期

――サイボウズ Office導入は、生産性向上プロジェクトの第一歩だったんですね。どんな業務から活用をスタートされたのでしょう。

営業日報からはじめました。それまでは紙で、本社メンバーしか閲覧できない状態でした。

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サイボウズ Office導入前の紙の日報

私はグループウェアを使ったことがあったので、「営業日報はグループウェアでデジタル化すればいいのに」と思っていました。営業日報には大切な情報がたくさん詰まっていて、ある意味会社の財産になるものです。それを多くの社員に共有してこそ価値が出ると思っています。当社では同じ取引先の荷物を複数の拠点でお預かりするケースがあるので、グループウェアで情報を共有し、拠点間の連携を図りたいと考えていたのです。

利用方法1

「営業日報」で複数拠点をまたいだデータ蓄積・共有のほか、分析にも活かす

――具体的なサイボウズ Officeの利用方法について教えてください。

まずは営業日報ですね。「報告書」機能の名前を変更して使っています。社員が慣れ親しんだ社内用語はいわば会社の文化ですから、それをそのまま機能名に反映できる点はとても気に入っています。

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営業メンバーはもちろん、取引先とやりとりした社員全員が登録する運用にしています。「A社の荷物が○日〜○日に何個入庫される」といった情報がここに集まるので、それを見て倉庫のスペースをいつまでにどのくらい空けておくか、その計画を立てられます。

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※実際にお使いの画面をもとに再現したデモ画面です。

また、日報の内容に対して別の社員がコメントを書き込むこともよくあります。営業日報を通じて、拠点を越えたコミュニケーションが随分増えました。
営業日報は「アドレス帳」と連携させており、取引先ごとに過去の一覧を見られるようになっています。たとえば契約料金の改定の際、どういった交渉の末に最終的な料金が決まったのか、結果だけでなく途中の経緯も遡ることができます。

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※実際にお使いの画面をもとに再現したデモ画面です。

なお、社員がデジタルツールに慣れた後は、この営業日報に書き込まれたさまざまな情報をBIツールに読み込ませて分析し、そのデータをもとに、次の提案を考えられるようになりました。サイボウズ Officeで情報を共有するだけでなく、蓄積されたデータを活用して新しいアイデアを生む流れができたのです。

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利用方法2

スケジュール調整も応援スタッフ要請も、リアルタイムでスピーディに

――そのほかによく使われている機能はありますか。

「スケジュール」ですね。役員の今日の予定がどうなっているのか、誰がどこにいるのかをいつでもわかりますし、社長のスケジュールもここから確認しています。導入前は電話をかけて都度確認していたので、昔と大きな違いですね(笑)

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※実際にお使いの画面をもとに再現したデモ画面です。

そのほか、出荷が急激に増えるなど、部門の人員を増やしたいときに全社へ応援を頼めるカスタムアプリ「応援アプリ」を活用しています。いつ、何人の応援が欲しいとリクエストすると、他の拠点の社員がそれを見て「うちは何人出せる」「じゃあ残り何人はこちらで補う」といったやりとりを行っています。

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社内浸透

みんなが「使いやすい」と思える状態にして徐々に展開

――導入したばかりの頃、サイボウズ Officeを浸透させるために行ったことはありますか。

いきなり全社展開するのではなく、まずは周りのメンバーと一定期間使い、使い心地を確かめる「お試し期間」を作りました。実際に営業日報を使ってもらって、操作感はどうか、項目が適切かどうかなどをアンケートでフィードバックしてもらい、設定を調整してから本格導入しました。

あわせて運用ルールも決めました。「最低でも朝昼晩に1回ずつログインする」「営業日報を見たら必ず『確認しました』のボタンを押す」「営業日報の表題には取引先の会社名を入れる」などがその例ですね。

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導入までのスケジュール

導入効果

目標だった高度なシステム導入に成功。DXの優良事例として経済産業省にも認められる

――サイボウズ Officeの導入により、どのような効果を感じていますか。

離れた場所でもかんたんに情報が共有できるなど、会社として大きな効果がありました。そして何より、社員がデジタルツールに慣れ、日常的にデータを蓄積する土台ができました。これにより生産性向上プロジェクトが進み、ついに倉庫管理システム「WMS」を導入し、リアルタイムでの入出庫管理が可能になったのです。

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生産性向上プロジェクト全体像

2022年には静岡県の中小企業で初めて経済産業省のDX認定をいただけました。さらに2024年、DXの取り組みで成果を出している中堅・中小企業を発掘するDXセレクションにて、グランプリを受賞することができました。サイボウズ Officeを発端とした一連の取り組みを評価していただけたのは本当にうれしかったです。

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――このプロジェクトにより、実際に生産性も上がったのでしょうか。

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現在の事務所の様子

従業員の生産性は約30%向上し、業績も伸びています。従業員の給料もアップし、地域製造業の平均を上回る水準になりました。これらの成果がさらに若い人材の採用といった好循環につながっており、一般的に物流業界の正社員の平均年齢は50歳ほどと言われている中で、当社は34.7歳と若いです。

2019年には新拠点「都田流通センター」を建設しました。拠点を増やす時には新たに人員を採用するのが一般的ですが、生産性向上プロジェクトによって業務効率化が進み、社員の業務に余裕ができたので、現状の人員で補うことができました。

今後の展望

次は自動ロボットを活用してこれからの人手不足に立ち向かう

――今後の展望について教えてください。

データ活用の仕組みをさらに進化させて、自動ロボットによる倉庫管理を実現したいと思っています。私たちの業界は深刻な人手不足が続くと考えています。ロボットが人の作業を補うのはとても重要な取り組みになるのではないでしょうか。

――最後に、御社にとってサイボウズ Officeとはどのような存在か教えてください。

地方の中小企業にとって、人手不足などこれから厳しい状況になることは間違いありません。だからこそ少しでも道具を上手に使い、一人ひとりの仕事を楽にしていかなければならないと思っています。当社の場合だと、社員がデジタルツールそのものに馴染み、 ITへの抵抗感をなくすための道具が必要で、それがサイボウズ Officeだったのです。

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あのときサイボウズ Officeを入れなくても、会社としての業務は続けられたでしょう。しかし、業績や従業員の給料に反映できるほど生産性を上げたり、仕事の質を一気に高めたりするほどの変化を起こすには、必要不可欠なものでした。今やサイボウズ Officeは会社のインフラであり、経営になくてはならないものといえます。そしてこれからも、インフラとして在り続けると思います。

――詳しいお話をありがとうございました。今後もサイボウズ Officeをよろしくお願いします。

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