サイボウズ Office

サイボウズ Office

Case Study 株式会社 dii

営業ノウハウを共有する仕組み作りで
契約が増えました

株式会社 dii

業種
金融保険業
利用規模
6人~50人
よく使う機能
カスタムアプリ・スケジュール
掲載日
2016.11.09

株式会社 dii は、東京海上日動保険専業の保険代理店。岐阜県の瑞浪市で創業して10年になる。 同社は、事業の健全性、安定性、成長性が総合的に評価され、東京海上日動から「TOP QUALITY代理店」に最高ランクのⅢとして認定された。全国で数万店ある保険代理店の中でわずか約60店ほどしか認定されない、非常に高い評価だ。また、専属代理店の中で優秀な契約実績のある代理店の優績表彰制度にも7年連続表彰されている。
そのため、保険会社やほかの保険代理店からもベンチマークとして注目を集め、講演会への登壇依頼や代理店運営の相談が絶えない。最近では、全国各地から毎月多くの保険代理店が相談に訪れるという。 代表取締役社長の永井氏は、このような実績をあげるためには「仕組みとマインド」が大切だと語る。それを支えるツールの一つとして、「サイボウズ Office」が活用されている。導入のきっかけや効果についてお話を聞いた。

導入のきっかけ

紙があふれる代理店業務のデジタル化を決断

――「サイボウズ Office」を知ったきっかけを教えてください。

普段からよく講演の依頼を受けるのですが、講演先での情報交換で紹介されたことがきっかけです。話を聞いたのは、東日本大震災で事務所ごと被災して流されてしまった気仙沼の保険代理店の方です。震災後に、普段からホスティングで使っていた「サイボウズ Office」上にデータが残っていたため、携帯電話からお客様の契約状況を調べて、いち早く保険金を支払うことができたという話に衝撃を受けました。diiでもデジタル化が必要だと決断して、2013年頃から取り組み始めました。

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代表取締役社長 永井氏

――それまではどうされていたのですか?

商談記録や見積り、契約書類などすべて紙で管理していたので、とにかく紙の量が膨大でした。

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紙で管理していたときのお客様一人分の書類の量。現在は、提案から契約まで紙は一枚も使わない。
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過去の契約書類を保存している棚の一部と、扉の開閉をカウントしているカウンター。以前は毎日何回も開けていたが、グループウェア導入後はペーパーレスが進み2年間で37回しか開けていない。

導入の経緯

業務に合わせたカスタムアプリを自社で作成

――アプリの作成はどのように進められたのでしょうか。

グループウェアを使い始めるにあたって、まずは「事務共有タスク」というアプリを一つ作りました。サイボウズが提供している配布アプリの「商談進捗管理」を見て、これをカスタマイズすれば使えると発想して、私が作りました。使い始めてからも社内から要望を上げてもらって、社員と一緒に使いやすいアプリへと作り上げました。
アプリの作り方は、サポートセンターに問い合わせをしました。保険代理店の業務のことは知らないと思うのですが、こちらのやりたいことを理解しようとしてくれたので、良い印象が残っています。また、できないことがあっても、できるかぎりの代替案を提案してくれました。少しずつ改善して、今使っているアプリはこれがベストだと自信を持って言える内容になりました。

――導入時に大変だったことはありますか?

入力が一番の課題でした。これまで慣れていた紙の業務から電子化していくときに、漏れがないかが不安になりました。社員には背中を見てついてきて欲しいと思って、まずは社長の私が率先して書き込みました。中にはパソコンの苦手な社員もいますが、事務長と毎日確認するなど様々な方法を試し、スパルタで頑張ってもらいました。
入力するときには、時系列で履歴を残すことと、何をして欲しいかを明確にすることにこだわっています。読んだ人がどう動いたらよいかを想像しながら書くことで、コミュニケーションが円滑になります。

――他のツールとはどのように使い分けているのでしょうか。

「サイボウズ Office」以外にも、TNetという東京海上日動が提供しているオンライン型の代理店システムも使っています。TNetには、保険契約が取れると、自動的にお客様の情報や契約情報が登録されるので、ある年代でこの保険に入っている人は何人いるのかなどの統計を出すのには便利です。契約時の時系列での進捗や細かいタスクの管理は、「サイボウズ Office」が向いています。
2つのシステムを使っているわけですが、データの住み分けをしているので、二重登録の手間や情報の分散など、非効率なことは起こっていません。

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左の画面にはTNet、右の画面では「サイボウズ Office」を映して効率的に事務作業を進めている。

利用方法

iPadを活用し、提案から契約までペーパーレス

――トップページはカスタムアプリが並んでいますね。

トップページは、自分の仕事だけ表示されているということがコンセプトです。改善に改善を重ねてここまでたどりつきました。いまやらなければいけないのは、トップページに表示されているレコードだけです。こうしてやることを明確にし、スタッフはタスク消しこみを楽しんでやっています。

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――予定メニューを細かく設定されているのですね。

スケジュールは、予定メニューで「瑞浪市 アポあり」「多治見市 アポなし」というように、営業社員の訪問エリアとアポイントのありなしがわかるようにして登録しています。この予定メニューの設定は、特に事故対応のときに役立ちます。事故の一報を受けた社員は、スケジュールを見て事故現場の近くでアポなしの訪問をしている営業社員を探して、現場に直行するように連絡を入れます。事故対応は保険代理店の大事な業務のひとつで、頻度は年間250件ほどあります。中でも交通事故の場合は、できるだけ早く現場に駆けつけなくてはなりません。そのため、スケジュールを見れば誰が近くにいるのかがすぐに分かるというのは大きなメリットになるんです。

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訪問予定の他にも、来店や講演、説明会の予定も、全員に共有するためスケジュールに登録しています。
例:恵那市でお客様が事故。現場急行の必要ありの場合
新美さん:アポ指定なし 恵那市
木村さん:アポ 多治見
松永さん:アポ 恵那市
→アポ指定なしで近くにいる新美さんが駆けつける

――一番よく使っているのは始めに作った「事務共有タスク」のアプリでしょうか?

はい。事務と営業で明確に役割分担をしていて、両者でやりとりが必要になるタスクは、すべてこのアプリに登録しています。このアプリを使うことで、いつまでに誰がどうやるのか明確になり、事務作業のコストを減らすことができています。

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――次に、「損保更新管理」の使い方について教えてください。

月初に3ヶ月先までの更新データをTNet(東京海上日動が提供しているオンライン型の代理店システム)からCSVでダウンロードして、「損保更新管理」に登録しています。次に、これまで「サイボウズ Office」に蓄積されてきた顧客情報や前年の契約までの経緯を見ながら、事務が数パターンの見積りファイルを作成し、「損保更新管理」のコメント欄に添付します。商談時には、お客様には見積りがどうして高くなるか、安くなるかも説明しなくてはいけません。そこで見積りとともに、この一年に何があったかの経緯も以前のタスクを参考にしてコメントにまとめています。例えば、前年事故があって等級が変わったため保険料が高くなっている、トラックの契約台数の変更で保険料も変更になっている、といった内容です。商談の際、営業はそれらの情報をiPadでお客様に見せながら説明します。そして、無事に更新が決まると、TNetの「らくらく手続き」という仕組みを使って、iPad上で契約を締結します。

――ペーパーレスですね。

商談から契約手続きまでiPadひとつでできるので、紙は一切使いません。契約が成立すると、営業が契約の“エピソード”を「損保更新管理」に書き足します。エピソードというのは、例えば、担当変更のご理解をいただいたことや、提案したプランを気に入っていただけたことなどの定性情報です。これは、次年度の更新時に、よりお客様にご満足いただけるプランを提案するための取り組みです。

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――「損保見込み管理タスク」はどんなアプリですか?

損害保険の案件が発生したタイミングで、レコードを登録している見込み案件専用のアプリです。定期的に期間を絞り込んで成約率を出したいので、アプリを分けました。損保の中でも特に自動車保険の契約を取るためには、営業のタイミングがキーになってくるんです。「損保見込み管理タスク」には、今他社で契約している自動車保険の満期の情報を登録する項目があって、満期のおよそ2ヶ月前にお客様とコンタクトを取るようにしています。ただ、タイミングよく提案したとしても、新規の案件は継続にくらべると失注することも多いです。その場合は、満期の項目を次年度に変更します。そうしてまた翌年の更新を検討する時期に連絡を入れるんです。しっかり管理して必要なタイミングで連絡をとると、「よく覚えていてくれたね」とお客様からの信頼を得ることができます。新規獲得には2年越しの案件が多いんですよ。情報管理が大切ですね。

――とてもいい仕組みですね。

いいんですよ~。満期の日付を更新したり、ステータスを保留にしたりすると、トップページに出る案件からは消える設定にしているので、日々の業務の中では一旦忘れることができますが、お客様の方から突然電話が掛かってきたときには、検索してすぐに適切な案内をすることができます。連絡をいただいたときに、担当営業が店舗にいないときにも、このアプリを検索することで、誰でも対応を引き継げます。

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「損保見込み管理タスク」アプリの一覧画面と、レコードのコメント欄

――「生保進捗状況」も「損保見込み管理タスク」と似た役割のアプリですか?

実は使い方が少し違います。1年毎に更新される自動車保険と違って、生命保険の場合は明確な期限がないことが大半で、どこまで案件を追うかの判断が難しいんです。営業社員個人の判断では、なんとなく疎遠になって、途中で諦めてしまうことがあったり、反対に踏み込み過ぎたりしてしまうことがあります。それを防ぐために、案件から手を引くタイミングを担当営業自身では決められない仕組みにしています。

――面白い取り組みですね。

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自分で判断するより客観的に判断するほうが的確なんですよ。うちでは毎日午前中は営業活動を行わず、ミーティングの時間にしています。ミーティングでは、この「生保進捗状況」のアプリを見ながら、各担当の案件を1つずつ確認します。この案件ではこれ以上積極的な提案はしないという判断はそのミーティングの場で行います。同時に、問題の洗い出しも行います。「先週電話すると書いてあるがしたのか?」「していない場合はいつするのか。」「面談予定になっているが、いつ行くのか?」といった具合で、やるべきことを確実にやるための仕組みです。また、提案内容についてのアドバイスも出し合います。

これは、「サイボウズ Office」を入れてから取り組むようになったことです。以前は、各営業がバラバラに自分のノウハウだけでやってきましたたが、今ではいろいろな人の切り口で提案できることがうちの強みになっています。同じ保険商品でも、提案内容によって、契約してもらえるかどうかが変わります。ノウハウの共有をしていなかった頃より、一人ひとりの契約高が上がっています。

導入効果

営業ノウハウの共有で、一人ひとりの
契約が増えました

――「サイボウズ Office」を導入して、どんな変化がありましたか。

「サイボウズ Office」を導入してから、業務に関する会話がなくなりました。グループウェア上に依頼や回答の履歴がすべて残るので、「言った言わない」が原因で気まずい雰囲気になることがありません。リアルなコミュニケーションでは、その分、子供の話など関係のない話ばかりしています。一見無駄な会話のようですが、社内の雰囲気が以前よりもよくなりました。

――記録が残ると、お客様へのサービスにも役立ちそうですね。

商談記録を時系列で残していますので、これは様々な局面で役立っています。紙と比べて検索性が高いので、どんな事故を起こしたのか、なぜ保険を使わなかったのか、なぜその保険を契約したのかなど、更新時や時間がたってからお客様からの問い合わせがあったときに、経緯を正確にお伝えすることができます。また、タスク管理をして早く正確に手続きを進めることで、お客様に気持よく過ごしてもらうことができていると思います。 保険業法の改正で、金融庁の監査に対応しなくてはいけなくなりました。うちでは元々記録を残しているので、特別な取り組みは必要ないと考えています。

――経営者の立場からは、「サイボウズ Office」をどう評価されていますか。

企業には目標があって、その目標を達成するためのツールを用意するのが経営者の役割だと考えています。うちでは営業社員一人あたりの契約数がかなり多いと思います。社外からも評価されています。こうやって結果を出すためには、仕組みとマインドが必要でした。「サイボウズ Office」は、やるべきことを明確にしてたくさんの案件を正確に進める、ノウハウを共有しながら目標を達成する仕組み作りに役立っています。

――営業の立場から、良かったことはありますか?

(営業社員の方)「サイボウズ Office」が入ってからは、非常に助かっています。商談中にiPadから「事務共有タスク」に登録すると、社内にいる事務担当のメンバーが、すぐに回答してくれることもあります。その場でお客様に返事ができることもあるんですよ。

今後の展望

「サイボウズ Office」を戦略に活用したい

――最後に、これから取り組んでみたいことを教えてください。

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「サイボウズ Office」は戦略にも使えるのがいいところだと思います。導入して二年半ほどたって、まずは証跡を残して、貯めたデータを個別の案件で活用するところまでできるようになりました。これからは、見込み顧客の発掘など、貯めたデータをさらに戦略的に活用することにチャレンジしたいと考えています。

――ありがとうございました。

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